【コラム】~労働トラブルの増加に伴う相談先の変化~
労働トラブルの主たる解決方法として「斡旋」という言葉を良く耳にします。
斡旋とは、労働関係調整法(10~16条)などによる最も簡便な労働争議調整方法のことを言い、各都道府県の労働委員会で斡旋員が労働者の相談を受けています。
斡旋は、関係当事者の双方か一方かの申請がある場合、または労働委員会の会長が職権でその必要を認める場合に開始され、労働委員会の会長が指名する斡旋員の経験、識見、手腕により、争議状態を解決に向かわせるものです。
労働委員会による斡旋の特徴は斡旋員とよばれる専門家が無料で担当してくれます。
専門家とは具体的に弁護士、大学教授、社会保険労務士などで組織されており、都道府県労働局ごとに委員会が設置されています。
裁判となれば長い時間と労力、多くの費用を要しますが、斡旋では書面で申請を受理すると、都道府県の労働局長から委員会への委任があり、当事者間の主張を整理・調整、話し合いの促進から具体的案の提示などを行い紛争の解決を図るものです。
厚生労働省の「平成24年度個別労働紛争解決制度施工状況」における調査結果によると、H24年度の厚生労働省管轄内における労働相談件数は106万7,210件、そのうち斡旋の申請件数は6,047 件でした。
相談件数は5年連続で100万件を超えており、主な相談内容は、解雇、賃金未払、有給取得について、退職一時金となっており、相談件数は年々増加傾向にあります。
斡旋は申請から2ヶ月以内に93.8%を処理しており、その簡易さや迅速な対応からも申請件数は例年6,000件前後もあります。
しかし一方で、毎年増え続ける労働相談に対して公的機関以外にも相談を受ける窓口が増えてきました。
H14年当時の労働相談件数は62万5,572件だったにも関わらず、ここ10年で毎年増加し、倍近くまでの件数になっています。
多くの件数を限られた人員で対処するには限界があるため、現在では公的機関が行う斡旋以外にも、労働者が直接、法律の専門家と訴えを起こしてくるケースも少なくありません。
こうなってくると、斡旋とは違い、双方の主張を調整するという姿勢よりも、専門家も依頼者の主張を前提としての解決策の提示になってきますので長期化することや、高額な請求をされるケースもお聞きします。
まずは企業としては、トラブルにならない為に「共通の認識を持つ」ことや、「社内に相談先を確保する」といった予防のための策が必要になってきますが、いくら予防のために時間や手を尽くしていたとしても基準である「法律」を無視することはできません。
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