【コラム】金融機関の決算書の見方
企業が金融機関から融資を受ける際、金融機関は決算書のどこを見るのでしょうか?
ポイントは次の通りとなります(金融機関によって確認する部分は違います。ここでは一般的なポイントをご説明いたします)。
1.債務超過かどうか?
まずは、債務超過かどうかを見ます。決算書の貸借対照表の「資本の部合計又は、純資産の部」というところを見ます。債務超過とは、理論上は倒産状態というわけです。資産より負債の方が多いということになります。
2.短期の支払能力はあるか?
流動比率(流動資産を流動負債で割った比率)という指標があります。これは、「流動資産で流動負債がまかなえているか?」ということを見る指標です。これが100%を割ると、資金繰りが厳しい、ということになります。
3.実質的に返済できているか?
税引後利益と減価償却費を足した数値が、1年間あたりの借入金返済額を上回っているか?
つまり、「当期利益+減価償却費」の合計が返済財源となるわけです。理論上はこれ以上の返済はできないはずなのです。
- 返済財源 ≧ 借入金返済額 → 返済可能
- 返済財源 ≦ 借入金返済額 → 返済過剰
4.格付
会社が金融機関に借入の申込みをした場合、金融機関はまず、企業審査を行い、当該企業の格付(債務者区分)を行います。
- 正常先
- 要注意先
- 要管理先
- 破綻懸念先
- 破綻先
なぜ、金融機関は格付をするのでしょうか?
それは、融資を実行することで金融機関の業績に影響を与えるからです。
金融庁による金融検査マニュアルの制定後、金融機関は会社に貸し出す「貸付金」という債権に対して、必ず、貸倒引当金を計上しなければならなくなりました。貸倒引当金とは、将来の取立不能見込額を見積もったものです。格付により、この引当金の額が決まってくるので、金融機関も真剣なのです。
【貸倒引当金の目安】
債権額が100とした場合、
- 正常先 ~4
- 要注意先 ~20
- 要管理先 ~60
- 破綻懸念先 ~80
- 破綻先 100
金融機関の貸出利率が数パーセントと考えれば、2~5の先に貸すと採算が合いません。利益がでている企業、債務超過ではない企業の決算書が必ずしも正常先かというと、そういうわけでもありません。金融機関は、決算書の資産を簿価から時価へと評価替えして、どんどん資産評価を下げていくのです。
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