【コラム】「売上を変えずに、会社にお金を残す方法」~経営者が陥ってしまう問題~
今回は、よく経営者が陥ってしまう勘違いについて考えてみたいと思います。
1.経営判断の迅速性
経営者は毎日経営判断を迫られます。中堅・大手企業になってくると社内稟議制度が確立され、決議事項の内容により誰の決裁が必要なのかが分かれてきます。
しかし中小企業では、社員が直接社長に相談し即判断を迫る場面も多く見受けられます。
その際、社長が日頃の業務で頻繁に相談を受ける内容であれば、すぐに判断をくだし指示を出すことができますが、普段の業務ではあまり遭遇しない問題が発生した場合は、慎重に判断をするつもりが判断を先延ばしにしてしまっているケースが多くあります。
中小企業が大手企業に勝る経営資源(ヒト、モノ、カネ、ジョウホウ)を持っていることは稀です。では中小企業が大手企業に対抗するために意識しないといけないことは何かというと、「速度」だと考えています。
「速度の経済性」と言いまして、スピードを上げることにより得られる経済的便益の総称です。これは主に事業展開においてよく使われる言葉ですが、経営者の意志判断全般に言えることだと思います。
石橋を叩いて渡るタイプの経営者の方は、判断に無駄な時間を割いていないかどうか、一度考えてみてください。放置をしていては、抱えている課題は解決してくれません。
2.時間の使い方
1で記載した「問題を先送りにしてしまう経営者」についてもう少し掘り下げると、先送りにしてしまう理由に「経営者が忙し過ぎる」ということがよくあります。
中小企業ではプレイヤーとして仕事をしている社長が大半です。そのため社長が一番忙しくされている場合がほとんどです。
そこで忙しい社長にお伝えしたいことが (1) 時間の使い方、(2) 権限委譲です。
(1) の時間の使い方ですが、将来の会社の事業展開について考える時間に、全体の2割の時間を割いてください。これはある上場企業の経営者がおっしゃっていました。
会社の事業展開について考えることは経営者の重要な仕事の一つですので、忙しいからという理由で考えないでいては、良い経営者とは言えません。
「計画におけるグレシャムの法則」という言葉があり、定型的意志決定に忙殺され非定型意志決定が後回しになることによって、本来組織の中で高い地位にある者が行わなければならない将来の計画策定が事実上消滅してしまうことを指します。自分の会社の事業計画はありますか?
(2) の権限委譲については、社長が忙しくなる理由は、全ての仕事を自分がしようと
するからです。
仕事量を減らすためには、社員に仕事をしてもらう必要があります。そのため権限を譲り渡す必要が出てきます。
社内の管理者がしっかりと判断し決裁を下しているのかをチェックする必要がありますが、仕事を任せる方が社員の成長にもつながります。
3.分析麻痺症候群
事業計画書を策定する際に陥るのが「分析麻痺症候群」です。
「分析麻痺症候群」とは、分析を重視するあまり現場の実情を軽視してしまうこと。
また現場の状況を感じ取る能力が劣ってしまうことです。
どれだけ調査しても完璧な事業計画書を策定することはできません。常に外部環境も競合他社も変化します。分析以上に行動することが重要な時もあります。
まず目の前の変化に対応しながらトライ&エラーを繰り返し事業展開をスピード感をもってできる会社が強い会社だと思います。
今回の話をきっかけに少しでも強い会社に近づいていただければ幸いです。
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